国連で働く:大学の専攻選びで考えたい4つのポイント

一般

みなさんこんにちは。このブログを読んでいる人の中には今後国連で働いてみたい、という方もいるのではないでしょうか。国連への入り方は残念ながら簡単ではありません。

私も大学生のころから憧れを持っていましたが、30代前半にようやく入ることができました。

今から振り返ってみると「あの時こうすればよかった」と思うこともあるので、このブログではこれから国連を目指している方の役に立つような情報を発信しています。

 

今回は「国連で働く上でどの専攻が有利なのか」というトピックで書きたいと思います。

 

僕は将来国連で働きたいのですが、何学部に行くのが有利でしょうか?

うーん。それは難しい質問だね。国連で何をしたいの?

貧しい人の助けになることがしたいです!

それは立派な志だけど、漠然としているね。もうちょっと深堀してみよう。

はじめに

「国連で働くのに何学部が有利なのか」これはとても答えにくい質問です。結論からいうと、「国際機関に需要のある専攻」という曖昧な答えになってしまいます。というのも、多種多様な国際機関があり、必要とされる人材もそれに応じて異なるからです。

例えば、世界保健機関(WHO)や国連教育科学文化機関(UNESCO)を含む「専門機関及び関連機関」だけで20組織。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連開発計画(UNDP)を含む「国連基金及び計画、調査訓練機関、その他の機関」を含めると40以上の組織があります。

これら全ての国際機関の需要に精通している人はいないので、全体の需要を見て専攻を考えるというアプローチではなく、自分のやりたいことから専攻を決めるアプローチで考えることが必要です。それでは、もう少し詳しく見て行きましょう。

様々な国際機関があり多種多様な専門性を持った人材が求められている

例えば国連環境計画(UNEP)なら環境、国連食糧農業機関(FAO)なら農業、国連児童基金(UNICEF)ならば子供、教育や水衛生など組織によってマンデートが異なります。

更に、ある国連機関の中でも多種多様な人材が必要です。例えばUNICEFで現在空席公募しているポストを検索してみると以下の様なポストがヒットします。

  • 教育専門官(リビア国事務所)
  • 保健チームのリーダー(バングラデシュ国事務所)
  • ワクチン専門官(スイス国事務所)
  • オペレーション部門リーダー(カメルーン国事務所)
  • 人事マネージャー(ミャンマー国事務所)
  • 社会政策専門官(アメリカ本部)
  • フィールド事務所長(インド国事務所)
  • 評価専門官(中東地域事務所)
  • 広報専門官(エチオピア国事務所)
  • 資金調達専門官(トルコ国事務所)
  • 法務専門官(アメリカ本部)

全て国際スタッフの空席です。ここから分かる通り、UNICEFなら子供、教育、水衛生に関連した学位を持った人しか採用されないという訳では全くないのです。

自分の興味のある分野で選び、トレンドや需要を意識する

したがって、先ずは自分がどういった分野での支援に携わりたいのか。また、具体的にどんなことがやりたいのかを考える必要があります。

例えば、子供の教育をやりたいということであれば候補としてUNICEFが上がってきます。教育支援といっても幅広いので具体的に何がやりたいのか?

初等教育の普及、紛争等の緊急事態の下行う教育支援、女性への教育の普及等いずれはもっと専門性を絞って修論のテーマにするなどしなければいけませんが、まずはこれで教育学系の専攻を選ぶという決定ができそうです。

他には、分野は特に問わないけれど人事で国際貢献に関わりたいという人もいるかもしれません。この場合、経営学や、人材管理学(日本にはあまり馴染みがありませんが)といった専攻を選ぶことになります。

このように、自分の求めている国際協力との関わり方に需要があるのかを調べ、あるのであればそれを専攻しましょう。

また、その専攻の中で自身の専門分野を決める際にはその分野のトレンドを調べてみるのも良いかもしれません。例えば環境学であれば、海洋プラスチックゴミ問題や脱炭素は現在の支援トレンドです。

避けた方が良い専攻

一方で、避けた方が良い専攻もあります。

例えば言語系の学部です。国連で働く上で英語かフランス語で仕事ができることは必須条件なので、例えばフランス語の学位を持っていてもそれだけでは国連には入れません。

また、芸術系、音楽系等そもそも国際協力とのリンクが薄い専攻も避けるべきです。

広すぎる専攻には注意する

また、中には広すぎる専攻もあり、それを学んでも専門性と言えるのかクエスチョンマークがつく学問もあります。

例えば、国際関係学です。誤解を生まないように明言しますが、国際関係学の修士号があれば国連の様々なポストに応募できます。

そういった意味では国際関係学は悪くない選択肢です。その反面、国際関係の知識が国連の実務で役に立つということはあまりありません。

卒業時に、「実際に自分は何ができるんだろう?」とならないように国際関係学を専攻する場合は国連で働くことを念頭に専門性を明確にしておくことをお勧めします。

まとめ

如何でしたか?上記の内容から「国連で働くには何学部が良いですか?」という質問に答えられない理由がお分かりいただけたと思います。

「国連で働く」という漠然としたゴールから一歩踏み込んで、「自分はどういった分野で国際貢献がしたいのか」、「その分野の中でどういった専門性に興味があるのか」と考えることが専攻を選ぶ際に助けになります。

自分の選んだ分野に需要があるかどうか、国際機関のレポートや動画を見て確認してみましょう。

コネクションがあれば興味のある国際機関で働いている人等に聞いてみるのも有効です。また、興味のある分野の支援のトレンドを分析して見てみましょう。

学部レベルではそこまで明確に選ぶことができる人は稀でしょうから、その場合は国際関係学を学ぶのも良いと思います。その後、修士課程では曖昧な学問よりは自身の専門性が確立できる専攻を選ぶことをお勧めします。

今回の記事は以上です。本記事が将来国連での勤務を目指す皆さんの役に立てば嬉しいです!

 

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