今回の記事ではこれまでの私のキャリアパスについてご紹介します。
また、それぞれの立場で身に付いたスキル、経験で国連を目指す上で特に役立ったと思うものをまとめてみました。
加えて、国連職員になった今から振り返って、これまで経験してきた職務経験が国連を目指したキャリア形成で良かったかどうかについて分析しています。
「専門性」「一貫性」「フランス語」、これが今の私が昔の自分に送りたい3つのアドバイスです。それでは見て行きましょう。
青年海外協力隊@インド (23-25歳)
新卒でJICAの青年海外協力隊(JOCV)に参加し、村落開発普及員(現在はコミュニティ開発)としてインドの地方部に赴任しました。
保健家族福祉省の県事務所に配属され、リプロダクティブ・ヘルス関連の活動を行いました。
具体的には、村レベルの診療所数か所を定期的に訪問し、インド政府のガイドライン通りに診療所が整備されているか、物品があるか等を確認するのが仕事でした。
国際協力の分野でキャリアを立てようとするとアフリカでの案件が多く、特にフランス語ができると応募できる案件がとても増えます。
JOCVの派遣前の語学訓練はとても秀逸でゼロから学んだ場合でも基礎-中級程度の語学力がしっかり付きます。
もし学部でも4年間勉強していると派遣前訓練+2年間の現地での活動経験が積めることになりかなりフランス語が堪能になるでしょう。国連で生き残るためにフランス語が重要な理由はこちらの記事に書いています。
難民支援@日本 (26-29歳)
JOCV後、イギリスの大学院で修士号を取りました。
卒業後、家族の健康上の理由から日本での就職しました。日本政府の事業を受託して難民支援を行う公益財団法人で約3年間勤務し、この間2つのポストを経験しました。
①難民相談員:
日本政府は難民認定申請中の外国人の内、特に生活に困窮している人々に対し保護措置を実施しています。保護措置は生活保護の様なもので、生活費、住居費、医療費を提供しています。
難民相談員の仕事は申請者の生活困窮度合いを面接で確認したり、保護費の支給を行ったり、それに関連する報告書を作成することです。
面接、報告書の作成はあまり職務経験として評価されません。ただし、難民支援(UNHCR)でキャリアを構築したいという明確な目標がある場合はお薦めできます。
②プロジェクト・マネージャー:
このポジションは文化庁が実施する難民に対する日本語教育事業を管理・実施することが仕事です。条約難民、第三国定住難民に対し施設での日本語の授業を提供しています。
プロマネの仕事は多岐にわたり、主な業務はプロジェクト企画書の作成、学習プログラムの広報、学習希望者の選定、日本語教師陣との調整、予算管理と執行、事業実施状況のモニタリング、事業報告書の作成です。
技能実習生関連業務@日本 (29-30歳)
1年に満たない短期間ですが、外国人技能実習生受け入れを行う公益社団法人で勤務しました。
この頃は自分のキャリア形成、国際協力との向き合い方に迷いが出た時期で、これについては改めて記事を書きたいと思います。
当時は北海道支部立ち上げの主任として旭川で勤務しました。主な仕事内容は、外国人技能実習生受け入れに関する中小企業への営業です。
アポを取って会社を訪問、制度を説明し企業が受け入れを希望した場合、選考過程、入国関係書類、日本語学習のサポートを行います。
飛び込み営業なども時々行い、これまでの業務では得られない貴重な経験を積ませて頂きました。
NGOプロジェクトマネージャー@エチオピア(30-32歳)
この期間は国際NGOのADRA Japanで南スーダン難民支援の現地駐在員として勤務しました。
主な業務内容は、プロジェクトの進捗管理、予算執行管理、現地関係者との調整(政府、UNHCR、NGO)、スタッフ管理、各種報告書の作成、事業申請書の作成です。
NGOのプロマネ(現地駐在員)は現場にとても近い立ち位置で仕事ができるので、これまで従事した仕事の中で最もやりがいのあった仕事の1つです。
週に1回難民キャンプで活動の進捗を確認したり、デスクワークで忙殺された時はスタッフに簡易な机をキャンプ内の拠点に用意してもらいそこで作業したことも。
現地政府との調整が難しい時など苦労することもありますが、他NGOとの連携、UNHCRとの連携、民間連携や、難民キャンプ内のVR映像の作成やこれまで無かった新しいな取り組みの導入など自由度高くダイナミックに仕事をさせて頂きました。
国連と比べて規模が小さいNGOですが、その分迅速に行動できたり大きい裁量を任されて仕事ができたりとNGOならではの強みや利点があります。国際協力の現場経験を積むにはとてもおススメです。
©UNHCR 2019
UNDP 平和構築・ガバナンス専門家@エチオピア(33-34歳)
外務省の主催するプライマリーコースの海外研修で国連ボランティア(UNV)としてUNDP Regional Service Centre for Africa (RSCA)で勤務しました。
EUのプロジェクトであるアフリカの角地域のエチオピア、ケニア、ソマリアの国境地域での協力促進事業に従事。私にとって国連で初めてのポジションでした。
3カ国の政府と協力してプロジェクトを行う、国境を跨ぐ天然資源の協力的利用を促進するという国連ならではの大きな規模の仕事に取り組むことができました。詳しくはこちらの記事で紹介しています。
他方、非効率さ等国連の課題を経験したポストでもありました。
UNDP SDGsコーディネーター@インド (34歳-現在)
現在のJPOのポストです。UNDP インド事務所の7つの州レベルの事務所のオペレーションサポート、大使館との調整やインドに進出している日本企業との民間連携等日本関係の業務に携わっています。
中所得国で勤務するのは初めての経験で、インド事務所のナショナルスタッフのレベルの高さと国際スタッフの必要性について考えさせられるポジションでもあります。
実際インド事務所では500人程のスタッフの内、インターナショナルスタッフは私を除くと僅か3人で、全て上級管理職です。
JPO後の国連でのポスト獲得という点で見ると、国際スタッフの空席が頻繁に出るアフリカ等の事務所に軍配が上がります。
他方、中所得国のUNDPが行っている先進的な取り組みは今後低所得国の現場に応用できるものも多いので、2年間しっかり経験を積ませてもらうつもりです。
以上がこれまでの私のキャリアの変遷です。大学卒業から国際協力の分野でキャリアを積んでこれたという点では自分を褒めてあげたいです。他方で、私のキャリア形成の弱点は専門性・一貫性に欠けることだと言えます。
一つの分野で繰り返し実務経験を深めて行った方がその分野のスペシャリストとして国際協力の世界では有利と言えるでしょう。
また、今から振り返ってみると、よりキャリアにプラスになる就職先も過去に選べたとも思います。これから国連を目指す方に伝えたい大切なことは「専門性」「一貫性」「フランス語」の3点です。
ただし、実際はどの所属先のどのポジションに就職できるかは運やタイミングも大きいです。家族の健康など自分の周りの要素にもよります。
上手く行かない時もあまり気負いすぎず「なるようになるさ」という心構えも大事だよ
間違った電車に乗っても正しい場所に着くこともあるからね
*インド映画『めぐり逢わせのお弁当』より
大切なのは決してあきらめない熱意です。私の場合JPOに2回落ちましたが、キャリアを補強しながら3回目で合格を勝ち取ることができました。諦めなければきっと道は拓けます。