みなさんこんにちは。このブログを読んでいる人の中には今後国連で働いてみたい、という方もいるのではないでしょうか。国連への入り方は残念ながら簡単ではありません。私も大学生のころから憧れを持っていましたが、30代前半にようやく入ることができました。今から振り返ってみると「あの時こうすればよかった」と思うこともあるので、このブログではこれから国連を目指している方の役に立つような情報を発信しています。
前回の給与に引き続き、今回は外務省が実施する平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業のプライマリーコースの海外派遣中の諸手当を解説します。主な手当をまとめた表は以下の通りです。
Learning allowanceは自分の業務、今後のキャリアに必要なスキルを学ぶための手当で、語学なども対象になります。私はこれを使ってフランス語の授業を取りました。
Accommodation allowanceは任地によって額が異なります。いくつか地域をピックアップして下記にまとめました。家賃が基準額を超えた場合、上限額までカバーされます。例えばバンコクでUSD 700の物件に住んだ場合は補助は出ず、USD 1,100の物件に住んだ場合はUSD 283が補助 (1,100-817)され、USD 1,500の物件に住んだ場合はUSD 495が支給されます。
# | 任地 | 基準額 | 上限 |
1 | ジュネーブ(スイス) | 978 | 592 |
2 | バンコク(タイ) | 817 | 495 |
3 | イスタンブール(トルコ) | 688 | 417 |
4 | アジスアベバ (エチオピア) | 750 | 450 |
Daily Subsistence Allowance (出張手当)はDSAと呼ばれ、簡単に言うと宿泊を伴う出張に行った場合に航空券とは別に支給されます。金額は正規国際職員と同じ基準で支給されます。ここから、宿泊費、食費等出張に必要な費用を支払います。なお、DSAはみなし払いのため、領収書の提出は不要で、どの宿に泊まっても一括で支給されます。また、食事、宿泊、交通がすでにアレンジされている場合(出張者の手出しが無い場合)はそれに応じてDSAが減額されます。
金額は地域によって異なりますが、いくつかピックアップすると以下の通りです。なお、金額が記載されているリストは毎月更新されますが金額はそれほど変わりません。
# | 出張先 | DSA(一泊分/USD) |
1 | ジュネーブ(スイス) | 407 |
2 | 東京 | 350 |
3 | バンコク(タイ) | 238 |
4 | イスタンブール(トルコ) | 235 |
5 | アジスアベバ (エチオピア) | 209 |
実際に出張に行くと費用はここまでかからないので、運よく(?)出張の多いポジションの場合は海外研修中の収入が増えます。
資料 (DSA Circular)はオンラインでアクセスすることができます。2021年7月のものはこちら。DSA_Circular (dundex.net)。
こんな資料です↓
また、出張に行くとTerminal expense (ターミナル手当)が支給されます。これは、空港までの交通費、荷物送料等をカバーする費用で、1ターミナルあたり基本USD47が支給されます。例えば東京-バンコク-東京の出張の場合は4ターミナル(東京、バンコク、バンコク、東京)なので47×4=USD188がDSAとは別に支給されます。
諸手当の一部はオンライン (Volunteer Management Application Modules: VMAM)で公開されているので興味のある人は確認してみてください。サインアップが必要です。
ログインページからログイン
ToolのプルダウンにあるEntitlement Calculatorをクリック(家賃補助を調べる場合は1つ上のAccommodation Calculatorを選択)
諸条件を選択
プライマリーコースの海外派遣の場合、Volunteer typeはInternational Specialist, Type of contractはInitial, Funding sourceはDonor funded, Type of entity はUN Entity, Durationは12ヵ月, Dependentsはゼロ(プライマリーコースは単身赴任のため)、Resettlement allowanceは有りを選択します。国とDuty Stationは調べたい地域を選んでください。最後にGet resultsをクリックすると結果が表示されます。
UNVには給与、手当に加え福利厚生ももちろんありますので、次回の記事で説明したいと思います。今回の記事は以上です。本記事が皆さんの役に立てば幸いです!