みなさんこんにちは。このブログを読んでいる人の中には今後国連で働いてみたい、という方もいるのではないでしょうか。国連への入り方は残念ながら簡単ではありません。私も大学生のころから憧れを持っていましたが、30代前半にようやく入ることができました。今から振り返ってみると「あの時こうすればよかった」と思うこともあるので、このブログではこれから国連を目指している方の役に立つような情報を発信しています。
前回の給与、諸手当に引き続き、今回は外務省が実施する平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業のプライマリーコースの海外派遣中の主な福利厚生を解説します。詳細はUNVが出しているInternational UN Volunteer Handbook “Conditions of Service”をご覧ください。
①有給休暇:
- 月2.5日=年30日
- 日本の多くの会社とちがい、国連では1ヵ月まとめて休暇を取ることもよくあります
②病気休暇:
- 病気、怪我で休む際に使うことのできる有給の休暇
- 月2.5日=年30日(内7日はuncertified sick leaveと呼ばれ、医療機関発行の証明書無しに取れる)
③家族休暇:
- 家族の病気、子供の学校関連の行事、親戚や近しい友人の死去、養子縁組 等に幅広く使える有給の休暇
- 未使用のuncertified sick leave分利用可能(最大7日)
④学習休暇:
- 自身の業務、キャリアで必要な勉強をする際に取れる有給の休暇
- 年10日
⑤出産、育児休暇(有給)
- 女性:16週
- 男性:10日
⑥医療保険(勤務地によって例外有、詳しくはConditions of Serviceをご覧確認下さい):
- 資格のある医師の診察、処置、薬、入院(食事代含む)を年USD150,000まで補償。多くの治療費、診察費は100%戻ってくる。
- 歯の治療(入れ歯、クラウン、ブリッジ等含む)は年USD700まで。
- 精神科治療は年USD1,000まで(医師に勧められた場合のみ対象)。
- 理学療法、放射線治療も対象(医師に勧められた場合のみ)
- 救急車代金含む(怪我の現場/発作等病気が発生した場所から初めに輸送された病院までのみ)
- UNVの掛け金は組織が負担するのでボランティアは支払わなくてよい。
- 保険会社はCignaを利用
⑦生命保険(テロ等の恐れがある指定危険地は別条件):
- 死亡時USD 100,000
- 障害を負った際は程度に応じて最大USD 100,000
⑧住居セキュリティ費用:
- 派遣国、所属先により異なるが、住居セキュリティ強化に必要な費用が支出される。
- 住居を決めたらセキュリティ担当部署(UNDSS)の住居チェックを受け、必要な強化措置(窓の格子、カギの取り換え 等)についてアドバイスしてもらう。それに基づいて上限金額まで支給される。
⑨Rest and Recuperation (R&R)
- 特にハードシップの高い地域で受けることのできる有給の休暇。通常の有給とは別に支給される。一回の休暇日数は5日(土日含めると9日)。
- 取得頻度はハードシップにより異なり以下の通り。
- 6週に1回:非常に危険な地域、国連職員がターゲットにされる国や、戦争、紛争が発生しておりスタッフにリスクがある地域
- 8週に1回:全ての家族帯同不可の地域
- プライマリーコースの海外派遣は原則単身赴任ですが、それはこのコースのルールなのでR&Rは支給されません。ただし、海外派遣先がR&R対象地域の場合はもちろん支給されます。
- 12週に1回:ハードシップカテゴリーがD,Eで首都以外の地域。Eカテゴリーの首都でも例外的に対象となる可能性あり。
- ハードシップカテゴリーについては別記事:プライマリーコース海外派遣中の給与(国連ボランティアの給与) を大公開! に記載
- 規定された休暇地までの往復航空券代(エコノミー)が支給
今回の記事は以上です。結論としてプライマリーコース海外派遣中の福利厚生は一般的な日本のものと比べると手厚いと言えるでしょう。本記事が皆さんの役に立てば幸いです!