みなさんこんにちは。このブログを読んでいる人の中には今後国連で働いてみたい、という方もいるのではないでしょうか。国連への入り方は残念ながら簡単ではありません。私も大学生のころから憧れを持っていましたが、30代前半にようやく入ることができました。今から振り返ってみると「あの時こうすればよかった」と思うこともあるので、このブログではこれから国連を目指している方の役に立つような情報を発信しています。
今回は国連に就職する上で留学が必要か?というトピックで書きたいと思います。結論から言うと、留学は必須ではありませんが、できれば留学した方が良いでしょう。ただ、ここで言う留学は語学そのものを学ぶ語学留学や短期留学ではなく、長期間現地の学生と共に英語で専門を学ぶ正規留学や交換留学です。
A. 留学が必須ではない理由
国連の求人には留学が必須と書かれていることはありません。正規職員であれば応募するポストに関連した修士号以上、学位に関連した○○年(ポストにより異なる)以上の実務経験、業務を円滑に行うことのできる語学力(英語、仏語 等)となっていることが一般的です。語学力の有無がポイントになるので、留学したかどうかは関係ありません。ただし、私はできるのであれば留学した方が良いと考えています。以下国連への就職を見据えた上で何故留学にメリットがあるのかお話しします。なお、この記事は小中高と日本語で教育を受けた読者を対象としています。
B. 留学のメリット
1) 英語力が上がり、自信を持って英語が使えるようになる
国連での業務で求められる言語は英語が一番多いです。一般的に応募書類作成や面接は英語を使いますし、業務も当然英語で行います。ですので、英語で仕事をすることにある程度自信が持てる程度に英語力を高めておく、英語を実際に使用した経験を積んでおくことは重要です。以下3つの区分に分けてお話しします。
a) 留学の準備過程で英語力が上がる
正規留学をするにはTOEFLやIELTSで英語力の合格基準を満たす必要があります。これを準備する過程で英語力が上がります。
b) 英語「で」学ぶことで英語力が飛躍的に上がる
アメリカやイギリスでは学生が求められる勉強量は日本よりも圧倒的に多いです。授業前の膨大な量のリーディングや授業中のディスカッション、エッセイの作成を通して英語力が飛躍的に上がります。また、グループ課題では他の学生と協力して課題を完成させるので、準備過程でコミュニケーション力が上がります。こうした能力は国連で働く上での基礎力になります。
c) 授業外でのコミュニケーションを通して自信を持って日常会話ができるようになる
授業以外の日常的な会話やアルバイトを自信を持ってできるようになることは、国連で働く上での語学の基礎力になるでしょう。
2) 国によっては修士課程が一年で取れる
日本やアメリカでは2年かかる修士がイギリスでは1年で取れ、時間と学費の節約になります。
C. 留学のデメリット
コストが高い
正規留学の費用は英語圏では年間200-500万円かかるのが一般的で、留学費用をどう賄うかが一番の課題です。母語の方が学びが深いのではという意見もありますが、アメリカやイギリスでは学習量が日本と比べてかなり多いので日本の方が深く学べるとは必ずしも言えません。
D. 留学費用の賄い方
英語圏の留学は学生にとって非常に高額で、アルバイトで貯金するのは現実的ではありません。様々な留学のための奨学金があるのでこれを狙っていきましょう。あの国で留学様のサイト等に返済不要の奨学金リストがあります。また、自身の大学の用意している奨学金や、貸与型の奨学金も検討してみると良いでしょう。
E. 私の体験からのアドバイス
私は学部時代に所属先の大学の交換留学制度を使ってアメリカに留学しました。日本とアメリカの両方の大学で学士号が取れるダブルディグリー制度だったので5年で両方の大学を卒業しています。大学院(修士)はイギリスで正規留学しました。イギリスを選んだ理由は1年で学位が取れるからです。費用は給付型の奨学金と貸与型の奨学金を組み合わせて賄い、学部時代は現地でアルバイトをして生活費の足しにしました。留学先でのアルバイトは実践的な英語力の自信に繋がるのでおすすめです。卒業時には返済が必要な奨学金が500万円程ありましたが、月4万円程、約10年の期間で返済中です。無利子なのがありがたいです。こう書くと負担が重いようですが(実際大変なのですが笑)この金額を社会人になってから貯めてその後留学しようとすると人生の貴重な時間が流れて行ってしまいますし、旅行に行きたくなったり欲しいものも出てきてしまうと思うので計画通り貯められないかもしれません。自分への先行投資だと考えると借金は良い判断だったと思っています。留学を通して得られた英語力は国連で働く上での基礎力になっています。留学中はかなりの勉強量が求められるので、日本で学部、修士と卒業してもここまで英語力は伸びなかったと思います。唯一後悔しているのは第二外国語でフランス語を選ばなかったことです。当時は国連で需要のある言語を全く知らなかったので、現在学生で語学選びを迷っている方は国連で求められる第二外国語は?の記事を参考にして下さいね。
今回の記事は以上です。本記事が将来国連での勤務を目指す皆さんの役に立てば幸いです!国連に関する記事のリクエストがあればぜひ教えて下さいね。